投資先の開拓
活きの良いベンチャー企業はどうやって見つければ良いのだろうか?
横の連携?
新聞・雑誌記事?
展示会?
出会いは色々とあるだろう。
当然投資スタイルによって、投資ステージも違う。
アーリーステージかミドル・レイターか。
よりエンジェルに近い投資スタイルでハンズオンするべきなのがアーリーステージ。
金融機関系のVCはテクノロジーリスク(開発)は取れないので、ミドル・レイターステージでマーケットリスク(販売)を取ることになる。
まあこれは米国でも同様とのことで、金融機関というのが性質上リスクを回避する傾向があるからやむを得ない。
しかしどんなステージでも成功する会社は成功するし、失敗する会社は失敗する。
教科書通りの投資を行っても、失敗はつきものということになる。
で、あれば、やはり自分の軸を持っていないと投資判断なんかできない。
つまり将来世の中がこうなっていれば便利だとか、こういう社会になって欲しいとか。
つまりベンチャー企業を探す前に、自分なりの未来絵図を持っていないと投資判断を誤ることになりかねない。
未来絵図は社会に対する興味や好奇心でもある。
大きな潮流と目の前の風を読まねばならない。
とにかく何にでも首を突っ込んでいく、その姿勢を大切にしようと思う。
社外取締役について
経営の透明性を示すため社外取締役を選任する企業が増えている。
これまでの認識はその程度だった。
そしてその制度に疑問を感じていた。
というのは、会社のこと業界のことを良く分かっているのは、プロパー社員ではないのか? と考えていたからだ。
また従業員のモチベーションとして、滅私奉公をして、会社の経営に携わることも必要ではないかと考えていた。
しかしそもそもの社外取締役の成り立ちは、別の意味があった。
役割分担ということだ。
CEOは経営に関する責任を一身に受ける代わりに、権限は大きい。
日本のサラリーマン社長の権限と違うことは、日産のゴーン氏の例で理解できる。
つまりCEOというものは、その役割をこなせる人がなるべきで、例えば営業のプロとか、開発のプロがなるべきではない、ということになる。
しかし人事権を含め全てを掌握してしまうと、その経営の成否を判断する機能を有する者がいなくなり、年一回の株主総会で蓋を開けてビックリという結果にもなりかねない。
そこを埋めるのが社外取締役ということになる。
そして人事委員会を社外取締役が掌握し、CEOの経営についてのチェック機能を持つことになる。
株主が社外取締役をチェックし、社外取締役がCEOをチェックし、CEOが会社経営(従業員)をチェックする。
そういう役割分担が理想ということである。
しかしながら、エンロン事件等問題が起こったのは、CEOのストックオプションと株主の利益が短期的に一致したため、その目的達成のためにCEOの息のかかった社外取締役が選任され、チェック機能が形骸化したことにあるという。
なんとも理想と現実は・・・。
また、面白いと思ったのは、会社内での役割分担である。
ベンチャー企業の場合、社長が研究開発者ということがよくある。
当然研究開発者であるから、事業が拡大してくると経営に軸足を移す必要がある。
もともと研究開発が好きな人が経営できるだろうか?
シリコンバレーではそういう場合、創業社長は技術部長や会長になり、社長を外部から招聘する。
しかし当然その研究開発ノウハウがベンチャー企業の独自性であり、そのようなノウハウに希少価値があるのだから、その創業社長は肩書は部長でもCEOより給与が高かったりする。
つまり肩書ではなく、仕事に価値がついて回るということだ。
極端に言うと、社長は誰でもできるが、その技術は部長じゃないとできない、という価値観である。
ベンチャーキャピタルのリスクの取り位置によって、上記のようなことも考えていかねばならない。
学ばねばならないことは、山のようにある・・・。
時価会計について
会社は誰のものか?
よく言われる議論であり、「株主のもの」というのが教科書の答えだ。
自分はしっくりこないが、ここでその議論をするつもりはない。
しかし株主と言っても、つい最近株を取得した人と、長年にわたり会社の株式を持っている人と同じ扱いで良いのだろうか?
様々なマネーゲームが崩壊した要因の一つには、行き過ぎた短期的収益の追求がある。
CEOゴロが再建のため選任され、まずは負の遺産を必要以上に吐き出す。
そう会社が存続するために将来必要となる資産であっても。
当然株価は下がる。そこでストックオプションを低い株価で設定し取得する。
その後、人的リストラをやる。徹底したコストカットをやる。
翌期には見た目の収益は好調だ。
CEOゴロのマネーゲームが完了する。
現在ストックオプションは給与所得と見なされるため、歯止めはかかっている。
しかし上記が許されたのは、株主が短期的収益を目的としていたからである。
モノ言う株主もしかり。
要は本来内部留保されて、会社にとって必要な設備投資、研究開発にまわされるべき資金を配当し、長期的には会社を苦しめる。
つまり「会社は株主のモノ」の弊害である。
時価会計。これも会社が保有する在庫や資産で長期化しているものを、実態に合わせるという目的において有効である。
四半期で保有する資産の時価を把握する必要性がどれだけあるのか?
不況時においては、時価が下がる⇒資産が劣化する⇒財務が悪化する⇒株価が下がる⇒さらに時価が下がる、負の連鎖である。
こんな米国発の仕組みを全部受け入れる必要はない!
そう、「21世紀の国富論」である。
遅ればせながら、ペラペラと読んでいる。
何と言うか、金融機関にいて、ボンヤリと疑問に思っていたことをキレイにまとめてくれている。
まだ意見を述べるほど読み込んでいないので、それは追い追い。
ただ言えるのは、昔「ゴール」を読んだときと同じような衝撃を受けていること。
早く最後まで読んでしまいたいと思える本だ。
とは言え「ゴール」も、今となっては、
「一番体力のない、スピードの遅い子を先頭にして隊列を組むのが、一番早く目的地に着く」
という、ボトルネックのところだけ。
どこまで活かすことができるのでしょう?
実生活では「一番時間がかかるモノを最初にやる」ように心がけてはいます、はい。
ネットカフェ
新規出店にはお金が必要だ。
ネットカフェでもそれは同じ。
1店出店するのにやはり1億円程度は見ておいたほうが良い。
それだけにマーケティングや費用対効果を良く検証する必要がある。
ところで、ネットカフェと言えば、やはりネットが中心のカフェだと思っていた。
しかし実情はやはりコミックの方がニーズが高いそうだ。
ネットは片手間、主にはコミックを読むと言う利用方法が多いらしい。
オンラインゲームも盛んだが、オンラインゲームをしててネットカフェを利用するのは30%程度とのこと。やはり自宅にネット環境を整えるのだろう。
さてネットカフェだが、色んな要因でお客を集めるのは厳しい状況のようだ。
しかしながら上記の通り、コミック目当てが多いということであれば、色んな差別化を検討できると思う。
例えば、コミックは基本的に買取なので、必要な在庫となる。
使いまわしなので、使い方は乱暴。
破損したり、盗難もある。
また陳列するための棚も必要だし、デッドスペースとなる。
そこで、以前紹介した、電子ペーパー若しくはキンドルのような端末にしてみてはどうだろう。
先進的なカフェと言うイメージと、デッドスペースも改善、商品のコストも下がる。
もしくは完全にネットに組み込む。
既存設備だけの投資ですみ、すこぶる合理的だと思うのだが・・・。
自分もネットカフェは利用したことはあるが、通おうとまでは思わない。
長時間利用する顧客を作るためには、差別化と気持ちの良い空間であることが必要ではないだろうか?
職場環境について
VCたるもの日々様々な会社を訪問する。
アーリーステージからレイターステージまで。
色んなオフィスがあり、色んな従業員の方がいる。
今日ふと思ったのは、職場環境って色々だなあということ。
ワンフロアで、間仕切りをせず、全てが一目瞭然の会社。
パーテーションで個のスペースを区切っている会社。
皆さんなら、どちらが仕事の能率が上がるでしょうか?
よく外資系の会社はパーテーションで区切っています。
日系の会社は間仕切りなんてないことが多いですよね。
経営者の立場なら、全てが見通せて、余計なお金も使わず合理的・・・、と考えるでしょうか。
一方従業員からすれば、区切られている方が自分の空間を持て、落ち着いて仕事ができるでしょうか。
最近PCの高性能化と小型化により、場所を選ばず仕事ができるようになりつつあります。
確かに仕事の内容によっては、自分のデスクよりも区切られたスペースの方が能率が上がることもあるでしょうし、リラックスした環境の方が良いこともあるでしょう。
何より近くの人の電話の声がうるさくて仕事にならない、なんてことはないかと思います。
経営者はコストをなるべくかけずに、いかに効率を上げた運営ができるか、ということを追求せねばなりません。
職場環境は双方の理想を言うと折り合わず、難しい。
オフィスの作り方から社長の人柄が表れているように感じた。
面白い業界
VCで仕事をしていると、「面白い業界はありますか?」と聞かれることがある。
その時々で流行り廃りはあるけど、これからの社会に必要なものは業界としても成長すると思う。
まあ、そんな禅問答のような答えでは面白みも何もないので、
「電子ペーパーです」とか「ネット家電です」とか言ってるけど・・・。
でも実際VCのように、未来を想像するような商売には「面白い業界」に対する自分なりの尺度は必要だろうけど、そうでないなら、その会社の事業性と経営者の力量を判断することが重要だと思う。
それはそうと、最近、何となく潮目が変わったような気がしている。
これまでのドンゾコに落ち込んでいくような不安感がやや薄れ、何か新しい産業が興るというような感覚がある。
残念ながらJALのように先行きが見えない会社もたくさんあると思うし、一気に景気が回復するわけでもないが、
何か変わってきているような感覚がある。
本当はそれを論理的に説明しなくては、商売柄いけないと思うが、その力量はない。
肌感覚というヤツ。
まあ、それが正しかったか、全くの誤りであったかは、2年もすれば明らかになる。
トレードセール
これまでVCはIPOを目指す会社に投資を行ってきた。
それ自体は今後も変わらないだろう。
しかし、以前も述べたことがあるが、海外では大企業に将来足りなくなるであろう事業を先行して開発し、その企業にM&Aするというベンチャー企業が増えている。
よしんば対象企業が買取資力がなくなったとしても、当然逃げ道を見出せる起業を行うわけである。
先日、実に興味深い事例があった。
IPOした会社で得られた収益が、トレードセールされた会社からの収益に負けたのだ。
当然同じ起業ではないので一概に比較できないことは承知。
あえて比べてみる。
投資金額はIPOした会社の方が多かった。
IPOした会社とトレードセールした会社の投資してからの保有期間はほぼ同じ。
トレードセールは第三者の事業会社への売却。
売却金額はほぼ同じ程度。
つまり、トレードセールした会社の方が投資倍率、IRR共に高いのだ。
当然IPOした会社の業績がどんどん伸びて株価が益々上がり、利益が増大した可能性はある。
しかしIPOしたら売ることが基本のVCにとって、IPO以後の事業拡大まではリスクをとらず、売却することが多い。
VCはビジネスモデルを変えねばならないかもしれない。
投資収益とファンド管理だけでは、業績の変動が大きすぎる。
企業価値を向上させるための経営コンサルティング等、レベニューシェアできるような、何らかの事業を興さないと、安定した成長は見込みづらい。
VCは投資先にやいやい言うほど立派なビジネスモデルは持っていないのである。