トレードセール

これまでVCはIPOを目指す会社に投資を行ってきた。
それ自体は今後も変わらないだろう。

しかし、以前も述べたことがあるが、海外では大企業に将来足りなくなるであろう事業を先行して開発し、その企業にM&Aするというベンチャー企業が増えている。
よしんば対象企業が買取資力がなくなったとしても、当然逃げ道を見出せる起業を行うわけである。

先日、実に興味深い事例があった。

IPOした会社で得られた収益が、トレードセールされた会社からの収益に負けたのだ。

当然同じ起業ではないので一概に比較できないことは承知。
あえて比べてみる。

投資金額はIPOした会社の方が多かった。
IPOした会社とトレードセールした会社の投資してからの保有期間はほぼ同じ。
トレードセールは第三者の事業会社への売却。
売却金額はほぼ同じ程度。

つまり、トレードセールした会社の方が投資倍率、IRR共に高いのだ。
当然IPOした会社の業績がどんどん伸びて株価が益々上がり、利益が増大した可能性はある。
しかしIPOしたら売ることが基本のVCにとって、IPO以後の事業拡大まではリスクをとらず、売却することが多い。

VCはビジネスモデルを変えねばならないかもしれない。
投資収益とファンド管理だけでは、業績の変動が大きすぎる。
企業価値を向上させるための経営コンサルティング等、レベニューシェアできるような、何らかの事業を興さないと、安定した成長は見込みづらい。


VCは投資先にやいやい言うほど立派なビジネスモデルは持っていないのである。